| 2009/07/22 |
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【第87回】中国の富裕観光客の財布のヒモを、心地よく解かせましょう
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短期間に毎年2000万人の観光客を日本に招こうと、観光立国の実現に観光庁が設立された。しかし、2007年に発生した金融危機は、観光界にも大きな影響を及ぼし、観光客の動きはあまり芳しいものではない。
このような状況の中、観光関連業界諸団体は、観光客招致策を打ち出して欲しいと政府に要望、外務省は、平成21年5月に、7月1日から、一定条件を満たす中国人(年収25万元=約350万円程度と見込まれる)には、観光ビザを支給することを発表した。
中国の富裕層にとって日本は、治安が良く、同じ肌の色、同じ文字の国で、欧米よりもはるかに魅力ある旅行先。中国の一般観光客に比べると富裕層は経済力が高いことは当然のこと、教育程度は高く、観光情報は豊富、礼儀作法も心得ており、観光関連業界からは、のどから手が出るほど招きたい大切なお客様。
英国観光庁の調べによると、平成19年の英国への中国からの観光客は約14万人、世界の31番目にしかすすぎない。しかし、旅行中の支出金額は、1人当たり1400ポンド(約18万5700円)で5番目になっていて、おみやげ物の購入には目がない人々。
日本の観光関連業は、この豊かな中国人富裕層の旅行用財布のヒモを、どう解かせたらよいのでしょう。
中国人富裕層の購買意欲を刺激するには、8つのツボがあるそうです。中国語が分からないからと尻込みするのではなく、心暖かく、親切に、丁寧に、8つのツボを心をこめて、押してあげましょう。
1.日本ブランドでプッシュ
中国国内の日本メーカー品よりも、機能・品質にうるさい日本人向けに、日本国内で製造・販売されている商品の方が高品質と考えているようです。日本製の「日本ブランド」と、「日本ブランド」を徹底的にアピールして、富裕層の購買意欲を捉えよう。
2.試用、試着とトライアルに付き合おう
衣服を買うとなると試着数が多く、散らかす。包装された新品を見たがると買い物マナーがひどいとの声がある。品質管理が行き届かない中国品への長年の不信感が、買い物行動に反映されている。辛抱と、時にマナーへの忠告も必要である。
3.新商品が購買のマジックワード
品選びに迷う富裕層には、新商品、限定商品を勧めること。日本だけで販売されている化粧品、バーバリーのブルーレーベル、ブラックレーベルは、狙い撃ちされている。中国に帰って、日本の銀座で買ったことを証明する包装、リボンも自慢のタネになる。
4.シンボルそのものに納得
高級ブランドの象徴商品が強い。日本人でもヴィトンの中でもモノグラムが特に好まれるように。中国で待っている親族には、「夫婦それぞれの親御さんにピッタリの商品は、親孝行の象徴ですよ」との一声で、一度に2セットが同時に売れる。
5.日本式接客が決め手
日本人に認められたお店での飲食、買い物こそが富裕層の快感であり、ステータス。丁寧なお出迎え、親身になっての相談とお勧め、個々人に合わせ笑顔の接客マナー、心をこめたお見送り。伝統の応対が、サービスに飢えている富裕層の心をつかむ。
6.無駄を感じさせないショッピングタイム
都心から成田空港への途中、540店舗のショッピングモール「ららぽーとTOKYO-BAY」には、平日でも観光バスが横付けに。「最後の最後までショッピング」に合わせ、レストランと20ほどのショップのパンフレットを用意。買い物の便のために、パンフレットの店舗は全て写真付き。帰りのバスでは買い物満足度のアンケート。
7.代金決済はスムーズに
中国では、1人1回の出国での持ち出しは500米ドル。ATMでも一日1万元(約15万円)しか引き出せない。そこで購買意欲を満たすのが、クレジットカード=銀聨カード。銀行口座の残高だけ買い物が出来るので、海外旅行への必携品。お札を数える手間が無く、サイン一発でムダがない。お店には、売上代金の回収が簡単、確実なメリットが。
8.日本の日常が売りになる
観光資源は、高級な料亭、割烹、レストランだけではない。米国高官が来日するとお忍びで赤坂周辺の焼き鳥屋に出没するように。薄給の飲んベーに欠かせない居酒屋、縄のれんでの日本人体験。選びきれないほど多種多様なデパ地下の高級惣菜、ケーキ、デザートを、高級ホテルの一室で、ゆっくりと。富裕層にとって心和む思い出となる。
恥ずかしがり屋で無口な日本人と、自己主張の強い中国人。対照的と思われがちだが、購買の現場では、同じ人間同士。お客さんを思いやる心がきっと良い旅の思い出となって、より多くの人々を日本へ引き付けるはず。皆さんのアルバイト先の職場でも、将来の職場でも、オープンマインドで中国からの観光客の皆さんを、気持ちよく迎えてください。
参考文献:「中国人セレブからしっかり稼ぐ8カ条」WEDGE、2009.7、28~36
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■■■PROFILE■■■
松井陽通(まつい きよみち)
前ビジネス心理科主任・教授。現経営学部経営学科長・教授。商学修士。
担当科目/消費者の心理、広告コミュニケーション論、情報メディア論など。
専門分野/広告論、消費者行動論、広報論。
(株)博報堂、茨城大学人文学部を経て本学に。
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