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2008/12/08
【第68回】ヴィルヘルム・ハンマースホイ展を観て


近頃気になっている二人の画家(現在、二人とも展覧会公開中)について紹介し、思うことなどを書きたいと思います。その一人が、フェルメールです。

フェルメールの絵は新聞の広告などで利用されているのを見かけますが、フェルメールの制作方法などを紹介した「真珠の耳飾りの少女」(左の写真)という映画に接して、強くひきつけられるようになりました。フェルメール研究家の見方と映画の描かれ方とは多少異なるところがあるようですけれども、フェルメールの魅力を知るには絶好の映画となっています。チャンスがあったら是非ご覧ください。
今、この350年前の画家が、世界中から脚光を浴びています。東京都美術館(上野・12月14日まで公開)の展覧会では入場者数がすでに70万人を超えたということです。

フェルメール展の混雑に二の足を踏み、また、かねてから興味があったヴィルヘルム・ハンマースホイの展覧会(日本初公開)に行ってきました。NHK教育の番組「新日曜美術館」で紹介された画家です。

ハンマースホイは、フェルメールからの影響を受けながら、独自の世界を作り上げたデンマークの画家です。フィルメール(オランダ)と同じように、室内に差し込む光を追い続けるというところに、北欧出身者の地域性が感じられます。
一方、ハンマースホイの特色は、国立西洋美術館(上野・12月8日まで公開。100点に及ぶ展示あり)の看板(見出しの写真)にあるように、背中を向ける女性を描くところにあります。モデルとなっているのは、ハンマースホイの妻イーダですが、正面からはほとんど描かれない。同じ室内、同じ家具、同じ装飾品(ピアノやロイアルコペンハーゲンのパンチボール)の中で、黒いドレスを着た、白く美しい項(うなじ)の女性が執拗に繰り返し描かれます。そして、最後は、人物もいなくなり、ソファと差し込む日差し、床とそこに差し込む日差しだけを描くようになっていきます。画の中の物語性は極力排除され、その分、観る者に画の中の物語性を喚起させるという不思議な構造となっています。
とにかく、しんと静まりかえった世界に、心を鎮められる魅力が満ちていました。

 


■■■PROFILE■■■
田中真理子(たなか まりこ)
ビジネス心理科 准教授。文学修士。
担当科目 日本語表現法 プレゼンテーション論 プレゼンテーション演習A ビジネス表現トレーニングなど。
専門分野 日本文学における表現研究 
主な著書 『別離・一路』『金子みすゞの世界』『斎藤茂吉』など。

 
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