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2007/08/05
ヴィクトール・E・フランクル著 『夜と霧 新版』(みすず書房)
塙 和明先生(子ども学科)


 8月になると我が国では多くのマスメディアが戦争にまつわる話題を取り上げます。終戦記念日の靖国神社への総理大臣の参拝の是非、従軍慰安婦問題など様々な課題が毎年、多くの識者によって語られます。こうした時期に皆さんも今一度、戦争というもののもつ意味を考えるという点で本書を紹介したいと思います。
 「夜と霧」という書籍名を一見すると男女の恋愛小説(最後は北海道の湖に二人で身を投げる?)かと想像するする人たちの方が現代では多いのかも知れません。原題は“Ein
Psychologe erlebt das Konzentrationslager” (ある心理学者が強制収容所を体験する)というもので、第二次世界大戦中、ナチスドイツによって引き起こされたユダヤ人への迫害のなかで究極の残虐行為とされる強制収容所における彼らへの大量虐殺の渦中にいた精神医学(精神分析学)者が、終戦によって凄惨な環境から脱することができた後、そのなかでの生活を綴ったものです。この「夜と霧」というタイトルは旧版の訳者、霜山徳爾氏がヒトラーの命じた「夜と霧」(Nacht und Nebel)作戦(闇に乗じて人を連れ去り、戦争犯罪人とされた人々は一夜にして消えてしまう)から採ったということです。
 この本は1961年に我が国でも出版され多くの人々が読み、極限状態に陥った人間の情況とそうしたなかでも自分を見失うことのない崇高な人格性に感動したといわれています。私も大学生の時に、心理学の教授から推薦図書として紹介され当時の貧乏学生としては結構な出費だったとは思いますが、自分で購入した記憶があります。多分、今でも書斎のどこかにあるはずです。2002年に新版(訳者も変わって)が出版され、装丁なども変更されました。旧版ではアウシュビッツ強制収容所などの写真が掲載され、ある種異様な非人間的な空間が垣間見られます。図書館の方に、旧版、新版の両書とも所蔵されていますので、読み比べてみるのも良いかも知れません。

<図書館の所蔵>
 新版 『夜と霧 : ドイツ強制収容所の体験記録』池田香代子訳(234.07||Fra/1階書架)
 旧版 『夜と霧 : ドイツ強制収容所の体験記録』霜山徳爾訳(234.07||Fra/1階書架)

 
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