昨年、東北新幹線が青森まで開通した。この3月、さらに高速の、3時間10分という短時間で東京-青森間を結ぶことになる。青森の新たな観光対策は、どのように行なわれているのだろうか。年末の報道では、青森あたりでは新幹線の乗客がまばらで、観光客も少ないというニュースが多かったのだが、乗った新幹線は、最後まで乗客が多く、空席はほとんど探せない状態だった。 2月10日、新幹線で新青森に到着。思ったよりも寒くはない。新青森駅でいったん駅周辺をぶらつく。観光案内所で、「青森駅の観光案内所に行くと、ボランティアの方が2時間ほどで市内の観光スポットを案内してくれますが、ここは何もありません、青森駅に行かないと…」と言われたのだが、それでも見ることも大切。観光物産館が1階にあり、県内全域の土産物を扱っていて、人は多かった。駅を出ると、まだこれからという広い空間が印象的であった。 戻って、青森駅に向かう。駅前で、ご当地の焼干ラーメンを食べて、今年1月23日にオープンしたばかりの「ワ・ラッセ」に。ここは夏のねぶた祭で有名な「ねぶた」を紹介する「青森市文化観光交流施設」である。ねぶたも展示してあり、日によっては生演奏のお囃子でハネト(ねぶたの踊り手)体験などもできるコーナーなど、いろいろと「ねぶた」や青森の文化を知ることができる。 今回、一番楽しみだったのが、夕方6時から開催される「ねぶた運行」と「ねぶた囃子」である。ねぶたは、あくまで夏の風物詩、冬にこういうイベントをするのは初めてだという。その初めての冬のねぶたを、どうしても観てみたかった。市内の中心部、新町通りで、19時から行なわれる予定で、17時からは雪見屋台街ができるということだった。最初にその屋台に向かった。県内から19の名物料理が並んでいる。4個所ほど顔を出して、注文しては写真に収め、料理の話を聞く。客にも話しかけたが、意外と話してくれる。地元の人が多かったが、それでも県外の客もいた。「今年は雪が多いんで、この辺は除雪してるからいいけど…」「雪に驚いたでしょう」「この辺では豚がおいしいんですよ」などなど。八戸せんべい汁を探したが、小川原湖畔のサイコロステーキや、さんふり汁、弘前のごっこ汁、焼ホタテと食べ続けて、満腹。ごっこ汁は、なんの料理かわからず尋ねると、はっきりした答えが返って来ない。そばで食べている人が「魚の名前だけど、どう言ったらいいんだろう。」と割り込んできた。その手元のごっこ汁を見ながら、「アンコウとハタハタの中間みたいな魚ですか?」と聞いたところ、「そんな感じの魚ですね」という答え。実においしかった。ねぶたのかけ声、「らっせー、ら」の響く中、冬ねぶたを早速観ることにした。 ゆっくりと、ねぶたが現れる。雪を心配して、透明なビニールをかけてはいるが、確かにねぶたである。その周りをハネトが、(冬だから当然だが)意外な厚着で踊っている。時折、小雪が舞うけれども、ほとんど気にならず、見続けた。 ホテルに帰り、9時前のニュースを見たが、さすが青森。ローカルニュースでは、最初にこの話題であった。ホテルの大浴場で、親・子・孫の3人連れと一緒になった。冬のねぶたを観て来たところだという浜松から来た客であった。青森は、観光に新たな動きが出てきつつあることを確認できたし、楽しい一日であった。 そして、翌朝、2月11日の読売新聞の第1面に「冬のねぶた」が掲載されていた。全国一緒かとも思ったが、心配なので持ち帰った。危惧した通り、読売新聞も、また朝日新聞も、毎日新聞にもこの記事は一面には載っていなかった。一番上の写真は、青森で購入した2月11日の読売新聞の朝刊、一面の記事である。新聞の記事が場所により、少しずつ異なることも授業では扱うのだが、これも教材になる。 その下の3枚は、私が撮った写真である。1枚目は、雪見屋台街の写真、次が遠くから見たねぶた、そして3枚目がねぶたの近景。真ん中あたりが白くぼけてしまっているのは、肉眼ではあまり気にならなかったビニールの覆い部分である。 藤田 洋治(観光・日本文化担当 教授)
|